まずは通販の話。8日にご入金頂いた方、明日投函します。お手元に届くまで、もうしばらくお待ちくださいませ。
普段告知をサボってしまっていますが、以前にご入金頂いている方にはもうお手元に届いているかと思います。
入金したのに来ていない！という方は、お申し出くださいませー。

はい、で、11/11はポッキー＆プリッツの日。
またまた世間の流れに乗ってみました。ＴＬがおいしかったので便乗。
以前書いた他ジャンルの話のオチと同じで申し訳ない。もう、これをテーマにする限り、オチは一緒になっちゃいますよね…、と開き直ってもいいですか。
学パロ孔花（学園恋戦記風）です。

「孔明さん、ポッキー食べませんか？」
学校帰りに孔明の家に寄った花が取り出したのは、見慣れた赤い箱のお菓子。
「かなが孔明さんと食べてって、くれたんです」
「ふーん」
「今日はポッキーとプリッツの日らしいですよ」
孔明はにこにこ顔で箱を開けている花を眺めた。
花の友達の二人の性格は把握済みだ。わざわざ孔明と、と指定してきたということは、完全にからかい目的なのだろう。
「私全然知らなかったんですけど、有名なんですね。孟徳先輩も言ってましたし」
「は？」
花の口から飛び出した名前に、孔明は目をむいた。
「生徒会長、何て言ってたの？」
「ポッキーの日だから、ポッキーゲームをしようって」
思った通りだ。孔明は舌打ちをしそうになり、必死で堪えた。
「君、ポッキーゲームって知ってる？」
訊ねると、予想通り花は首を横に振った。
「知りません」
「だよね」
知っていれば、花がこんな風に無邪気に、何のためらいすらなく、孔明にポッキーを一緒に食べようなどとは言えないはずた。
「君、それ、返事したの？」
「いえ、私が何か言うよりも前に、元譲先輩と文若先輩が現れて仕事だって、孟徳先輩を連れていったので……」
孔明は元譲と文若に感謝した。生徒会メンバーとは確執がないわけではないが、孟徳を抑えてくれたことは有り難い。

「孔明さんはポッキーゲームって知ってます？」
「知ってる、けど」
孔明は思わず、ごくりと唾を飲み込んだ。
ソファに制服姿で座る花。
スカートからはすらりと白い脚が伸び、学校指定のカーディガンはやわらかく曲線を描いている。
こてんと首をかしげ、髪を揺らす花。彼女の大きな瞳は、じっと孔明見つめている。
どう見ても、据え膳だ。
「やってみる？」
出てきた声は情けないことに掠れてしまった。花は孔明の動揺には全く気付かないようで、「はい」と笑顔まで見せてくれた。
据え膳だ。

孔明は花が開けてくれたポッキーの箱から一本取り出し、「花、口を開けて」と促す。
素直にぱくりと口を開く彼女の口にポッキーを突っ込む。
目を丸くしている花に「はい、閉じて」と言うと、やはり言われるがまま花は口を閉じた。
ポッキーの端が花の唇に挟まれる。
……素直すぎる。
一瞬罪悪感も頭を過ぎるが、こんなところでは止められない。
花の薄紅色の唇に咥えられているポッキー。花はじっと孔明を見ている。やや上目遣いで。
止められるはずが、ない。
「いい？　君は端からポッキーを食べてくんだよ」
花がうなずくのを見て、孔明もポッキーの反対側の端を咥えた。
花の目が大きく見開かれる。
ポキン。
軽い振動と共に、ポッキーは折られた。
「はーな。ダメでしょ」
花は真っ赤な顔になり、そっぽを向いてもぐもぐと残ったポッキーを食べている。
「い、いえ、その、驚いて。これがポッキーゲームなんですか？」
「うん、そう」
「そ、そうなんです、か」
花はじりじりとお尻の位置を動かし、孔明から遠ざかっていく。
こんなところで逃がすわけにはいかないのに。
花の腕を掴んで逃亡を阻止してから、孔明はにこりと微笑んで見せた。
「もう一度。ちゃんと出来るまでやろうか」
「で、出来るって何が…… っ」
「んー。やってみよう」
「――っ！！」
ゆでタコのような顔になってしまった花の口元にポッキーを持って行っても、もう口を開けてはくれない。
「花、口開けて」
促しても花はぶるぶると頭を横に振るだけだ。
「仕方ないな」
孔明はため息をついた。
まあ、途中経過がどうであれ、最終的なゴールに辿りつけばいいのだ。
明日からは、孟徳の「ポッキーゲームやろう」もちゃんと拒否するだろうし。
花は断固として拒否をする姿勢を示そうといているのか、口を堅く閉じ、ぎゅっと目までつぶってしまっている。
孔明はくすりと笑うと、顔を近づけていった。
唇を重ねると、先程し損なったポッキーゲームの欠片の、チョコの甘い味がした。